lepet lahnica!

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2006-04-09

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 さあ書評をやってやるぞと意気込んでみたものの、一番最初に何を持ってきたらいいのかわからない。仕方がないので、さっき読み終わったばかり、『鏡の三十層』から始めます。良作です。幸先が良い。


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『鏡の三十層』

著:レニー・ボンダストン 訳:大家伴持

★★★★☆(とにかく仕掛けがスゲー)


 こういうのって普通“三重奏”でしょ?などとツッコミを入れながら購入。だけど読んでみるとあーこりゃ確かに“三十層”だわ。合ってる。


 三十の短編がそれぞれ三十の章からなっていて、章をレイヤーのように重ね合わせると一つの作品が姿を現すという仕掛け。もちろん短編自体もちゃんと短編として成立しており、しかも全部ジャンル違いという凝りよう。その上、『鏡の~』というタイトル通り、三十の短編それぞれが隣の短編(のストーリー)を微妙に反転しているという偏執的なアレ。


 が、あまりに形式を重視しすぎたせいか、三十の短編はどれもいまいち魅力に欠けるんですよね……。その分、最後に全短編をくっつけ合わせて出来た短編──ぼくはこれを“フランケンシュ短編”と名付けたい──は、ビックリするほど面白い。正直、泣き出しそうになるくらい感動した。


 ただ、その面白さにしても、最後の最後まで、うわーこれつまらねー!と思ってたからこその面白さ、落差と仕掛けに助けられての面白さなのかなーと、こうやって文章を書いている今でこそ思ったりもするけど。するとあのつまらなさもムダではなく、むしろプラスだったのかしらん。


 従ってこの文章、ネタバレといえばこれ以上のネタバレもないのかなーと気になったりもしますが、でも、そういうワンダフルが待ってるって知らないと、途中で読むの止めちゃう人もいるかもしれないし。この作品に関しては、むしろこれくらいの前情報があってもいいのかなーとも思いますし。


 臥薪嘗胆。読後感は最高によろしい傑作です。

ゲスト



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