lepet lahnica!

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2006-04-16

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『スリースター山猫』1、2巻

作者:大場ともあき

★☆☆☆☆(あれ……?)


文:レストラン「山猫」に集う料理人は、一筋縄ではいかない腕自慢ばかり!今日も彼らはシェフ長である山嶺銀三(やまみね・ぎんぞう)のもと、次々と訪れる美食家たちを唸らせていた。ところが、高名な料理評論家、ハオチー都東(はおちー・ととう)が、「牛の卵を使った料理を食べさせろ」と無理難題をふっかけてきて……!?


 ヘッドバンクでやってる連載は始まった時からずっと立ち読みしており、こいつは面白いマンガが始まったぜなどと毎週楽しみに思っていたので、1,2巻が同時発売と聞いて、さっそく買ったわけなんですが。あれれ、なんだか全然面白くない、というよりも、え、っと、つまら、ない?


 絵はわりと上手くて──というより新人だと思っていたけど、調べてみるとどうやら結構ベテランのマンガ家なんですねこの人。まあそれはいいや、えーと、そう。で、絵は上手くて、あとストーリーは構成も含めて悪くないし……ってか、うわーこりゃ何もかもが良い!と感心したからこそ買ったわけで。(グダグダ)


 なんと言うか、とにかくテンポがちぐはぐで、読んでてイライラしてくるんだよなー。どんなシーンでも、コマが前後どちらかに一つずつズレているような違和感。これは、でも本人に問題があるのかもしれないですね。立ち読みしてた時はそれがピタリとはまっていたわけだから。


 いずれにしても、それが致命的なのかなーという気がする。左右の度数がどちらも自分に合っていないメガネをかけて生活することはできないし、ひっきりなしに震度1の地震が起こっていたらストレスがたまって仕方がない。

 けなしてばかりなのもあれなので、良いところを一つ。


 この作品にはいわゆる主人公というものがいません。話ごとに主役の料理人が出てくる。元ネタは水滸伝だと思うので、そのうち中心的なキャラクターってのが決まってくるのかもしれませんが。主役不在はウリでもあり弱点でもあると思うんだけど、個人的には非常に面白いと思う。まだ設定を生かしきれてない感はあるけど……。しかし「山猫」には一体何人の料理人がいるんだ?

2006-04-09

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 さあ書評をやってやるぞと意気込んでみたものの、一番最初に何を持ってきたらいいのかわからない。仕方がないので、さっき読み終わったばかり、『鏡の三十層』から始めます。良作です。幸先が良い。


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『鏡の三十層』

著:レニー・ボンダストン 訳:大家伴持

★★★★☆(とにかく仕掛けがスゲー)


 こういうのって普通“三重奏”でしょ?などとツッコミを入れながら購入。だけど読んでみるとあーこりゃ確かに“三十層”だわ。合ってる。


 三十の短編がそれぞれ三十の章からなっていて、章をレイヤーのように重ね合わせると一つの作品が姿を現すという仕掛け。もちろん短編自体もちゃんと短編として成立しており、しかも全部ジャンル違いという凝りよう。その上、『鏡の~』というタイトル通り、三十の短編それぞれが隣の短編(のストーリー)を微妙に反転しているという偏執的なアレ。


 が、あまりに形式を重視しすぎたせいか、三十の短編はどれもいまいち魅力に欠けるんですよね……。その分、最後に全短編をくっつけ合わせて出来た短編──ぼくはこれを“フランケンシュ短編”と名付けたい──は、ビックリするほど面白い。正直、泣き出しそうになるくらい感動した。


 ただ、その面白さにしても、最後の最後まで、うわーこれつまらねー!と思ってたからこその面白さ、落差と仕掛けに助けられての面白さなのかなーと、こうやって文章を書いている今でこそ思ったりもするけど。するとあのつまらなさもムダではなく、むしろプラスだったのかしらん。


 従ってこの文章、ネタバレといえばこれ以上のネタバレもないのかなーと気になったりもしますが、でも、そういうワンダフルが待ってるって知らないと、途中で読むの止めちゃう人もいるかもしれないし。この作品に関しては、むしろこれくらいの前情報があってもいいのかなーとも思いますし。


 臥薪嘗胆。読後感は最高によろしい傑作です。