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夢学

2008-09-01

[]さいごの竜のはなし

ジャケットが格好良かったんでつい手に取り、あらすじ見たら結構面白そうだったので購入。


世界で最後の一人になった竜人が、人と手探りで暮らしていくという話。

よくある特設機関に主人公は所属しているのですが、小隊としての態を取ってはいるものの、実は主人公以外は架空名義というまともな機関とはとても思えないような状況。

主人公はそれを身をもって知りながらも(最初から事務所兼詰め所に一人分の設備しかなかった)、特に不平不満を述べようとはせず、たった一人で荒事解決という仕事に従事します。といっても一話完結の勧善懲悪で人助けするいい話だったりするのですが。

そんな日々に、書類不備で間違えて配属されてきた新人の女の子が、主人公の小隊に所属することになってさあ大変という流れ。

竜人というだけあって、額の端から上に向けて角が二本あって(センサー代わりらしい)、明らかに人と異なる特徴である羽があって、むちゃくちゃ邪魔そうな太い尾があります。そんな感じの、ぼくのかんがえたちょうじん的なセンスなのに、中身が典型的なヘビースモーカーで性格もおっさんじみてるもんで、最初は主人公の外見に超ビビッてた新人も段々呆れと共に馴染んでくるんです。その辺の描写が無茶苦茶うまい。


「何でこんなに何もないんですか?」

と、新人が少し馴染んできたころに、あっさりとした事務所について尋ねるところがあるんですよ。結構な広さの割に使ってないスペースが半分以上あるもんで。

「それはな、片付けるのが面倒だからだ」

と返されてがっくり肩を落とす辺りなんかでは、徐々に馴染んでる感の片鱗がうかがえます。

しかもこれは賛否があると思いますが、上の会話直後に新人の悪魔ちっくなデフォルメキャラの絵で

(本当か……? 小物を描く手間を渋ったんじゃないのか……?)

と舞台裏を勘ぐる腹黒さも個人的には気に入ってます。悪魔コスが可愛かっただけとかそんなんじゃないよ、ほんとだよ。


寡聞にしてこの作者の過去作をまるで知らない(と言うよりも検索しても何も出てこなかった)のですが、この人は空を飛ぶ描写に無茶苦茶力を入れているような印象があるんですけど、余程好きなんでしょうか。あとがき漫画でも描いてあったのは深夜のコンビニ店員との交流話くらいなんですが。

飛ぶときには羽のどこに力を入れて、旋回時には羽のどういう動作でどんな動きが出来るかというのを執拗なまでに描いている気がします。感心してしまった。

それはそうと、一巻ではなんで主人公が最後の竜人になったかというのがまるで、伏線すらも出てきません。導入に絞ったのかなー。割と普通にごろごろ獣人亜人的な存在は居るので、なんぞ話の核心に迫るエピソードでも隠し持っていると思っていたのですが伏線も出さないとは思わなかった。気づかなかっただけかね。