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夢学

2006-04-06

[]ふるさとはダムの下


「ふるさとはダムの下」を読みました。これ、長いことリアルにあった悲しい話かと思っていたんですが、アマゾンのレビュー読む限り予想とは違う感じだったんで興味を持って手を出してみたのですが、中々良かったです。

まず最初に説明しておくのは淡々と事実を描く「さよなら僕の故郷…」的な話ではなく、能力バトルものであるということ。


ストーリー概要。

主人公が仕事帰りにラジオを垂れ流していると、いきなりザーっという音に変わって妙な声が聞こえてきます。単語単語でその声を主人公はよく聞き取れなかったのですが、それから毎日同じ時間にその現象が起こるようになって、その声の内容を理解した主人公は戦慄を覚えます。

タイトルにあるとおり主人公の故郷は沈んだ村なのですが、何故かそこから去っていった人が次々と狙われているというのです。

そして何故か沈んだ村から形見代わりに持ち出してきたもの一つ一つに神が宿っていて、それに守られつつ反撃の機会を伺う…というライトノベルっぽい感じです。


見所はといいますと、あまり沈んだ村に愛着を持てず、ラジオからの声にも懐疑的だった主人公が故郷のことを知り、自分の先祖との縁を知るにつれて決意を固めていく過程でしょうか。

主人公が形見代わりに持ち出したものは村のものではなく祖父の懐中時計なのですが、それに宿った神に祖父と村との思い出、村が沈むまでの経過を聞いていくうちに幻想となった村を誇りに思う辺りはしんみりしました。

ただ不満があるとすれば、沈んだ村の人が狙われる理由が完全には明かされなかったことでしょうか。作中でそれらしき匂いのするキーワードはちらほら出たのですが、完全に説明はされなかった。どうもネットで評判を見るに、まだ続編があってそちらで完全に明かされるはずが、なんか内輪で揉めて出なくなったとのこと。残念です。ジョジョのスタンドのような能力を生かした頭脳戦は中々面白かったのに。

…あれ、そういえば物に神が宿るようになった理由も特に触れられてなかった気がする。


でも一応これ単品で読んでもちゃんと完成していたのでまぁいいかな。懐中時計の神と主人公のやり取りは後半なんか息がぴったりで、アメリカの相棒映画のようでした。

最後、ダムの上に立って水底を見つめて終わるのは読んでて切なくなった。